中学校の卒業式の日に君に渡したリンゴの木。
あれから何年もの月日が流れ、立派に成長をしているのだと思う。
人は「普通じゃ物足りない」という。
だけど、ぼくは「普通」がいい。「普通」に憧れている。
ぼくには「普通」が叶わなかった。
習い事をしたり学習塾に行ったり、
部活やサークルや恋愛・・・
挫折と失敗、苦悩と屈折を積み重ね、
これ以上落ちることはないところまで落ちて、
この世の地獄の底まで見てきた。
そこから這い付くようにもがき上がって、今日の自分がいる。
ぼくのリンゴの木は枯れてしまった。
君の実家の庭に植えられているリンゴの木の幹と、
決して甘くうまいとは言えない一粒一粒の実には、
ぼくの人生が詰まっているのだよ。