自転車置き場にタバコの吸い殻。
「きっと、あいつだな」
即座に思いつき脳でつぶやく、朝8時30分。

擦れ違いざまにマスカットの香り。
「ガムを噛んでるのかな」
甘い味が舌の奥に蘇り、吸い寄せられる午後4時。

正義ぶった迎合主義の奴の作文。「A君」の常連。

自転車に名門男子高の校章シール。
同じ色の無地シールで番号を隠す。
「クマタカ(熊高)の近くでパクってきた」だと?
廊下の消火器を持ち出し、
盗んだ自転車を乗り回す土曜の放課後。

町を越えて田園地帯の粗大ごみ置き場。
自転車を投げ捨てるお前。
持参した消火器を撒き散らして、
「一丁上がり」
俺を連れてきたのは、帰りの足か?
荷台に跨り「からあげ食おうぜ」と肉屋の手前。
右手には五百円。
「ぬかりがないな」

悪戯の天才。
でも、ろくなもんじゃねえ。


明日は林間学校。男子トイレで制服と体操着を
脱ぎ捨てたお前。
全裸で壁のタイルとDK。汚いな。
初日の夜。班長の俺と同じ班のお前。5人しか
いないのに、12人分のカレールー。
隠し味は、松ぼっくりだ。焚火に投げ込んだ
平らな石が破裂して、地面に墜ちるカレー鍋。
悲惨だな。

「冷めたら動物が食べるかな?」
女子の班員。
こんな辛きゃ、タヌキだって食わないさ。
綺麗に炊けたライス。
カレーをもらい集める惨めな5班。
飯盒のおこげは醤油味。

帰郷前夜のキャンプファイヤー。
「WAになっておどろう」で
ケツを出してタコ踊り。

爆笑の周囲に唖然茫然の俺と班員。
全く、ろくなもんじゃねえ。

Ah!おめーのことなんか、もう、知るか!
おめーのことなんか、知らねえ。

この腰パン野郎。
ピカチュウのトランクスが丸見えだぞ。
前を出すなよ。

Ah!おめーのことなんか、わからねえ!
おめーのことなんか、知らねえ。

次に俺を遣い物にしたら、
今度はハムカツも追加だぞ。
ジュースはよく冷えてる自販機で買えよ。
部活の先輩に教わってねえのか。

おめーのことなんか、知らねえ。
おめーのことなんか、知らねえ。

Ah!俺は、もう。

おめーのことなんか、知らねえ。
おめーのことなんか、知らねえよ。