町の最南端の消防貯水池は、まだ、
陽が昇ってまもない。通学班の集合場所。
1年生から6年生まで1列に並んで出発。
黄色い小旗をランドセルに挿して、
最後尾を歩く僕。
安全確認は、高学年の役目。

北へ向かう朝の通学路は、遠く街を望む
一本道。目の前には広大な田畑。
街の向こうには大きな山が見える。
真っ青な空と強烈に吹き付ける冷たい風。
「赤城おろし」に立ち向かう、冬の日のRoad。

3.5キロ歩いて到着した学校。毎朝恒例の
全校マラソン。
200メートルトラックを5周。校舎の拡声器からは
『負けないで』。
内側の50メートルトラックを走っている低学年が
楽しそう。
吐き出す白い息に、溢れ出して流れ落ちる汗。

土曜の朝はロードレース。
トラックを2周して校庭の外へ出る。
100メートルずつのなだらかな下り坂と
平らな舗道。300メートルの地獄の上り坂。
校庭に戻って残り3周の1.5キロ。

『負けないで』が『モルダウ』に
変わってる。
親友のヤス。腕相撲では誰にも負けないあいつ。
持久走では僕と賞状のボーダー20位争い。
敵意剥き出しのDead Heat。
野球少年、ケイタは余裕の走り。
サッカー少年、トモくんは脚が綺麗。
柔道少年、ヒロさんは遅くないか?
学年で最重量。
プラモ大好き、カズは息を切らし、
ヴァイオリンを習うシゲは、マイペース。

1.5キロはきついよな。
3.5キロ歩いてきたあとの1キロも。

半袖短パン。ダサい学校ジャージは着たくない。
外気の冷たさも吹き飛ぶぜ。
霜柱を踏むのが気持ちいい。

でも、やっぱり・・・

1.5キロはきついよな。
3.5キロ歩いてきたあとの1キロも。

1時間目の鉛筆。手が悴(かじか)んで握れない。